SERAさんのブログ記事に触発され,今さらではありますが,先月7月30日に行われました「AFTERNOON PIANONNO @MORIYA 2011」につきまして,思っていた事を感想として書いてみることにしました(もともとはSERAさんのブログ記事にコメントとして書き始めたものです).
まず,この度は19th Clubの方たち,守谷の方たちには大変お世話になりありがとうございました.おかげ様で初対面の方が多かったにも関わらず,参加者の皆さんとあまり距離を感じる事無く楽しむ事ができました.
今回の会に対する皆さんのコメントを拝見し,その懐の深さに感謝するとともに,それに甘えず,自分のやりたい事には責任をもってきちんと取り組まないといけないとの思いを新たにしました(特に今回は演奏の準備があまりにも雑だったので).
これに懲りず今後ともどうぞよろしくお願い致します.
>「技術・理念の習得」と「純粋に楽しむ体験」は音楽教育の両輪でなければならないと思います。(by SERAさん)
このSERAさんの言われている事を,今回の会に参加しながら正に感じていました.特にSERAさんが言われる「純粋に楽しむ体験」について,会の最中にも折に触れて考えていました.それが19th Clubの方達の雰囲気を反映するキーワードだと思ったからです.
ここで言われている意味で「純粋に楽しむ」ためには,演奏者,または聴衆に「主体性」というか「積極性」が求められると思います.「純粋に楽しむ」時には個々人の中の基準を参照しなければならないと考えるからです.その基準とは個々人の感情や経験などになると思います.
個々人が感情や経験などに従って「主体的」に「楽しむ」ことにより,それが演奏者ならば,より多くの要素を含んだ豊かな演奏が可能になり,聴衆ならばより演奏により寄り添った聴き方(良きにつけ悪しきにつけ)ができると思います.
しかし伝統のある文化の中では,どうしても「〜でなければならない」という,制約に「受動的」に従いやすく,受動的な姿勢が強いと,演奏者も聴衆も「個性」が押さえ込まれ,なかなか「純粋に楽しむ」ことができないように思います.
例としては適切でないかも知れませんが,例えば超絶技巧に偏った演奏(もちろん,技術的に破綻していないきちんとした演奏ですが)についても,まず「すげ〜」と驚き,そのvirtuosityを賞賛することもできると思うのですが,日本のクラシック系の人達の中ではそれについて「音楽性に乏しい」として一様に「眉をひそめることになっている」ように感じられ,残念に思うことがあります.
今回,19th Clubの方たちとご一緒させて頂き,その「純粋に楽しむ」という姿勢に,なんというか安心感に似た心地よさを感じました.「技術・理念の習得」は極端な話,機械的な取り組みでも可能ですが,「純粋に楽しむ」という姿勢はその性格上,各個人の音楽に対する姿勢,さらに言えば各参加者の生き様が反映されるものであり,画一的なものは存在しません.しかもそれは参加者が表現してくれないと感じ取れるものではありません.今回は,それぞれ参加者の方々が積み重ねて来られた多様なものを表現して下さり,身近に感じ取れたからこそ,そしておそらくその表現されたものに共感できるものが多かったからこそ,心地よさを感じたんじゃないかと,今は解釈しています.
そして,そうした雰囲気はきっと子ども達にも伝わっていると思います.
父親,母親が音楽を楽しんでいれば,その子ども達も自然と音楽と仲良くなれるに違いありません.
今回の会の雰囲気も重要な要素だったかも知れません.
ユングさんの企図した自由な雰囲気があったからこそ,いろいろなものを表現しやすく,また感じ取りやすかったという面はあると思います.
その雰囲気についてですが,正直に申し上げて評価は二分されると今でも思っています.すなわち,演奏の最中に参加者が席を立ったり,子どもが壁を登っていたり,コスプレをしてピアノを弾く人がいたり,あるいは大人たちがどんどんアルコールを飲んだりする事などについては,今回の会の参加者のなかでも賛否が分かれるものと思います.
そうした状況については,主催側の人間(僕は一応,主催側ってことで)でも可否に迷うところがありましたので,それについて私見を述べ,感想を終えます.
ピアノクラブOB側としては,「例会に近い形」と理解すればそんなに抵抗はないようにも思うのですが,それにしても,真摯に演奏に取り組む演奏者を蔑ろにしているのではないかという追求に対し,今回の会の形式を完全に擁護する反論を,僕は持ち合わせていません.
しかし,今回の会および今後も続くであろう同種の会(*)については,この雰囲気でいいということで総括し,また今後も進めていいんじゃないか,と感じています.様々な個性,背景をお持ちの方々が参加されることを考えると,今後も各参加者の堪忍袋の許容量を最大限に使い切りながらの会になるかも知れません.でも今回のような雰囲気によって,それぞれが自らの個性を余すところ無く発揮し「純粋に楽しむ」ことをお手伝いできると考え,可能な限り枠をはめず,自由な雰囲気で音楽を楽しむ会としてお許しを乞いたく考えています(張りつめた緊張感の中で行われる演奏会を否定するものではありませんが,そうした「場」はきっと他にもあるでしょうし).
(*)ユングさんを中心としたピアノクラブOB主催の会のこと:ちなみにピアノクラブOB主催の会は他にもあり,硬派な演奏会も時々行われています.
行儀が悪くて演奏者の方にはちょっと申し訳ないかも知れませんが,例えば演奏者ごとに会場の雰囲気や聴衆の聴き方が変わるなどといったことも「この会の特質という事にしてしまう」など,敢えてあまり手を加えずに,参加者が集まってそれぞれが独自性を出す事で醸し出される「祭りっぽさ」が特徴の会として続けばいいなぁ,というのが正直な僕の気持ちです.
末筆ではありますが,改めまして,参加者の皆さん,そして何より中心となって主催して下さったユングさんと五右衛門さんに深く感謝の意を表し,以上を感想とさせて頂きます.

